泌尿器科とは
尿は、日常生活に密接にかかわってくる行為です。尿の回数が増えて集中できない、毎回行くたびに痛みが出て嫌になる、夜にトイレに行きたくなって、よく眠れないなど、日常生活のクオリティを落としてしまう症状が多いですので、つらい症状、不快な症状は我慢することなく、お気軽に泌尿器科をご受診ください。
泌尿器科は、尿を産生してから体外に排出するまでの経路に生じた病気について、診察、検査、治療を行う診療科になります。具体的には、膀胱や尿管、腎臓などの病気が対象です。これに加え、男性に特有の臓器である精巣や前立腺などの生殖器関連の疾患も当科で扱います。泌尿器系は、性器付近などのデリケートな部分に症状が現れることも多いため、多少の痛みや違和感であれば、受診せずに放置されている方も少なくないようです。しかし、放置しておくと病状を悪化させたり、こじれてより長く治療期間がかかる病気もあります。
このような方は当院の泌尿器科をご受診ください
- 尿が出にくい
- 下腹に違和感がある
- 尿が出るときに痛みがある
- 尿がほとんど出なくなった
- 尿に血が混じっている
- 排尿の回数が多い
- 夜間に何度もおしっこに起きる
- 尿が残っている感じがする
- 尿が漏れる
- 腰や背中が痛む
- 尿道から膿が出た
泌尿器科で扱う主な疾患・症状
排尿障害
排尿障害とは、膀胱と尿道の間、尿を貯めて排出する機能が障害された状態のことです。尿を貯める機能に障害のある蓄尿障害(頻尿、尿失禁など)と尿を排出する機能に障害がある排尿障害(排尿困難など)などがあります。
これらの症状の原因としては、前立腺肥大症や膀胱収縮障害などさまざまなものが考えられます。病歴や身体所見、検尿や腹部エコーなどを行い、原因を診断していきます。排尿障害は生活の質(QOL)に大きくかかわるものですので、異常を感じられましたら、お気軽にご相談ください。
尿所見異常
血尿
血尿とは、尿に血液の成分である赤血球が混ざっている状態をいいます。目に見える血液が混じっている肉眼的血尿と、見た目は通常の尿でも顕微鏡で見れば赤血球が混じっている顕微鏡的血尿とがあります。血尿は尿が生成される腎臓や尿路、その周辺のどこかに何かしらの病気が潜んでいる可能性があります。健康診断などで血尿を指摘された場合はまず検査をするようにしましょう。
蛋白尿
健康な人の尿にもごく少量の蛋白質は含まれていますが、一定以上の蛋白質が尿に含まれていると蛋白尿といいます。腎臓では、老廃物を含んだ血液をろ過し尿を作りますが、この時に必要な蛋白質は再吸収されていきます。しかし、腎臓や尿管に異常があると蛋白質が再吸収されずに尿として排出されます。腎臓は自覚症状が出たときにはすでに病状が進行していることが多いです。尿検査での異常は放置せずに検査をするようにしましょう。
前立腺肥大症
前立腺肥大症とは、加齢とともに前立腺が肥大化し、尿道や膀胱が圧迫され排尿障害が出てくる良性の疾患です。前立腺は精液の一部を作る男性のもつ臓器で、前立腺肥大症は50歳以上の男性には珍しくない疾患です。症状が軽いうちであれば薬物療法で快方に向かうことが多いですが、悪化してしまうと薬物療法では十分な効果が出ず、外科的手術が必要になる場合もあります。以下のような排尿障害があれば、まずは泌尿器科を受診しましょう。
前立腺肥大症の症状
- 頻尿、トイレが近い
- 夜間頻尿、夜何度もトイレに起きる
- おしっこの出が悪い、すぐに出ない
- 残尿感
- 尿の勢いがない
前立腺がん
前立腺がんは、前立腺に発生するがんです。比較的進行はゆっくりですが、早期に自覚症状はほぼありません。尿が出にくい、排尿回数が多い、残尿感などの症状が見られる場合もあります。男性においては一番罹患者が多いがんといわれています。早期に発見し治療を開始できれば、治癒することも可能です。
尿路結石
尿路結石とは、尿の中に含まれているカルシウムやシュウ酸などが結晶化し結石ができ、尿路に引っかかり痛みなどの症状を起こすことをいいます。尿路結石には、腎臓結石、尿路結石、膀胱結石、尿道結石があります。症状としては、背中から腰、下腹部の痛みや血尿です。結石が詰まっていると腎臓機能の低下につながる可能性もありますので早めの治療が必要です。結石の患者数は年々増加傾向にあり、男性だけでなく女性や若年層にも増えています。また、結石の再発率はとても高く、生活習慣を見直すなど予防が重要です。
性感染症
性感染症とは、STD(sexually transmitted diseases)ともいわれ、性的接触により感染が広がる疾患のことをいいます。男性と女性の性交だけではなく、オーラルセックスなどの性行為(粘膜接触)も含みます。男性の場合は泌尿器科、女性の場合は産婦人科などで診療することが多いです。自覚症状がなく、感染に気付かないままパートナーにもうつしてしまうこともあります。感染していた場合はパートナーも検査する必要があります。
淋菌感染症
淋菌感染症は、性行為によって感染する淋菌が原因で性交渉から2~7日の潜伏期間を経て発症する性感染症です。男性の場合は、排尿時の激しい痛み、尿道から膿が出てくるなどが主な症状です。女性の場合は無症状か軽い症状の場合が多いです。尿道からの分泌物採取、尿検査などで診断します。治療としては、抗菌薬の投与を行います。
クラミジア感染症
クラミジア感染症は、性行為によってクラミジアトラコマティスに感染し、潜伏期間1~3週間を経て発症します。男性の場合は、排尿時の痛み、尿道掻痒感が主な症状です。女性の場合は、無症状な場合が多いですが、放置すると不妊や流産の原因になることもあります。尿道からの分泌液や尿、口腔内の抗原検査で診断します。治療は抗菌薬の投与を行います。完全に治りきらない場合があるため、2週間後には再度尿の検査を行います。
梅毒
梅毒は、性行為によって梅毒トレポネーマに感染し、約3週間の潜伏期間を経て発症します。梅毒に感染している母親から胎児に感染する場合もあります。近年増加傾向にある性感染症です。初期症状としては、感染部位(性器や口など)に痛みを伴わないしこりや潰瘍が発生します。3ヶ月までの間に発熱や全身倦怠感、皮膚に赤い発疹(バラ疹)が多数発現します。感染から数年が経過すると皮膚、筋肉、骨、内臓にゴムのような腫瘍が発生し、心臓や血管、脳などが障害されます。治療としては、抗菌薬の投与を行います。早期に治療すれば比較的治りやすいとされています。
ED(自費診療)
EDは、勃起が不十分で満足な性行為ができない状態、いわゆる勃起障害です。完全に勃起できないケースだけでなく、勃起状態を維持できず、性行為に支障をきたしている様々なケースも含まれます。加齢に伴って生じる方が多いのですが、そのほかにも原因があります。例えば心理的要因によるEDの場合、性行為に対する不安感や嫌悪感、精神的なショック、パートナーとのトラブルなどで引き起こされます。器質的要因によるEDの場合は、勃起に関係する脳や脊髄などの神経性の障害、性ホルモンの異常、陰茎の異常、血流の問題などが考えられます。さらには両方の要因が混在している混合性EDがあるので、きちんと診断を受けることが大切です。
EDの治療
EDの一般的な治療では、勃起障害を改善させるお薬を処方します。この中には、バイアグラ、レビトラ、シアリスとそれぞれのジェネリックがあるので、患者さまに最適のED治療薬を医師が選択いたします。なお、治療薬の種類によって若干異なりますが、主な副作用としては、顔のほてり、目の充血、鼻づまり、軽度の頭痛、動悸などがみられることもあります。お薬を服用した後でこれらの症状が現れた場合は、速やかにご連絡ください。